■みどりの妖婆−Greenwitch
   

みどりの妖婆シリーズ第三作、邦訳は評論社からシリーズ第二作として、1981年に刊行。第一作である「コーンウォールの聖杯」で活躍したドルー兄弟が、ウィルと共に、(1976年、復活祭の頃)闇の勢力に盗まれた聖杯と、海に落ちた古文書を取り戻す為に協力する。荒魔術で作られた「みどりの妖婆」とジェーンの心の交流や、ドルー兄弟ウィルを受け入れるまでの葛藤など、キャラクターの心の内面の描写が面白い。

この作品はケイト(娘さん?)へ捧げられている。みどりの妖婆はマーク王の花嫁とも言われる。春(復活祭の頃)女たちが一晩かけて葉で人形をつくり、夜明けと共に海へ投げ込む。骨組みはハシバミ、頭はナナカマド、躰はサンザシの枝と花、中には石を入れる。願い事がある者は、崖に移される前に手で触って念じる。荒魔術のひとつ。
みどりの妖婆にあたる民俗祭祀は、残念ながらそのものというものは見あたらない。しかし、春分の祭りでサンザシやナナカマドといった植物によって人型が作られるというモチーフは、ヨーロッパの古い信仰「グリーンマン」を思わせるとともに、ベルティナ祭のイメージも重なる。

登場人物:ウィル・スタントンドルー兄弟メリマン・リオンビル・スタントン、フラン・スタントントムズ船長ルーファスペンハロー夫妻闇の画家みどりの妖婆ティーシス
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